まだまだ認知度が低いと言えます。
しかしながら、その技術力の高さや動作の軽快さは、指折りを数える機能として、
長年注目されており、大手企業や教育機関でも導入が進んでいます。
「ESET」の強さと軽さの秘密はいったいなんでしょうか。
■ESETはどのように生まれたのか
ESET社は、東欧スロバキアで1992年に設立されたソフトウェア会社です。若い2人のプログラマーが、新種のウイルスを発見したことから開発が進められて、
製品化されました。社名であるESET(イーセット)は、
エジプト神話の女神「イシス」のスロバキア語に由来しています。
当時の共産圏では、プログラマーなどのの技術者養成も積極的に行われていたほか、
アンチウイルスに対する技術開発が進んでいました。
その後、現在に至るまで、コンピューターウイルスの多くは東欧圏や旧共産圏などで
開発されていることなどから、ウイルスの情報が集まりやすいスロバキアに
開発拠点のある同社のセキュリティソフトは、ウイルス検出率が高いという評価も多いです。
■ESETはなぜ軽くて強いのか
また、共産圏時代のスロバキアでは高価でハイスペックなパソコンは
普及していなかった為、可能な限りプログラムを軽量化している点も注目の点です。
この結果、現在に至るまでESETは軽量化されたセキュリティソフトとして評価されています。
更に、ESETの「20年以上の歴史」を語る際に欠かせないのが、
遺伝子工学に基づいた「ヒューリスティック技術」です。
この技術は、未知のウイルスを発見した場合、別のマシン環境を一時的に仮想で作り、
その環境で対象プログラムを実行させることで、ウイルスか否かを
最終的に判断することができる技術です。
この「軽量化」と「ヒューリスティック技術」により、
ESET製品はウイルス検出率が高くて動作が軽いという最大の特徴を持っています。
■日本での導入実績や、実力を証明した出来事
日本市場で販売されているセキュリティソフトの中ではオーストリアの
独立系テスト期間AV-Comparatives.orgで「ADVANCED+」を最多受賞。
また、コンピューターウイルス専門誌「Virus Bulletin」では、
「ウイルス検出率100% Award」を最多受賞。
日本では、教育機関として東京大学や、世界中のインターネットを統括する
W3Cのサーバーもある慶應義塾大学でも導入されています。
そのほか、国立天文台やアイリスオーヤマ株式会社などでも導入がされています。
また、2005年には価格コムがサイトの一部を改竄されたとして、
サイトが一時的に閉鎖に追い込まれましたが、この改竄事件の時に
唯一検知できたウイルス対策ソフトはESETだけでした。
トロイの木馬という古典的なウイルスだったにもかかわらず、
一部コードが異なったために一般的なウイルス検知ソフトでは対策できず、
ESETの「ヒューリスティック技術」によって発見されたものでした。
この事件により、国内では「ESET」の評価が高まる結果となりました。
このような歴史や立地といった背景が、
ソフトの強さ、軽さ、実績に繋がっているのです。