ESET研究員の1人であるDAVID HARLEYは、2〜3年前まで折に触れよく、彼の妻がITの講師として勤める学校へ行き、学生たちにITセキュリティについての話をしていました。
そのころ、彼は親友のエディ・ウィレムスと共に、お互いにイギリスとベルギーで学生たちのセキュリティ問題に対する知識や意識に関してデータを集め、その調査データをもとに『子どもたちにきちんと教える – ICTセキュリティと若年世代』という論文も書いています。
さらに『AVIENガイド企業のためのマルウェア防衛術』の中でも同じデータについて触れています。
若年層におけるオンラインの安全問題
これらは既に6〜7年前から語られている問題ですが、若年層におけるオンラインの安全問題は、今もなお現実に続いています。
しかしながら、ESETアイルランドで彼の同僚であったアーバンシュロットは、この問題について考えているうちに、予想外の共通する視点に思い当たりました。
教師というものは生徒が学校にいる時間はある意味”親の代わり”としての役割を求められています。
つまり、親の役割を担うと云うと厳密にいえば議論の余地が残りますし、世界のどこに住んでいるかによっても状況はもちろん大きく違ってくるのですが、それにしてもやはり教師というものは時に自分の仕事が学校教育という領域をはるかに超えて、乳母やベビーシッターのような教育係の役割を担っていると感じているものです。
アーバンの書いた記事は、教育における穏やかな一面を取り上げているのではなく「IT問題について憂慮した記事」なのですが、”インターネットはアイルランドの親にとって子どもの世話係になったのか?”と問いかけています。
アイルランドでおこなった子供のオンライン上の行動調査データ
ESETアイルランドは(アイルランドのマーケティング機関の)アモーロックに、アイルランドの親たちが自分の子どものオンライン上での行動をどのように管理しているか調査するよう依頼しました。
1,000人を超える親のサンプル調査において、73%の親たちが、自分の子どもがWebにアクセスすることに関して「管理をしていない」と答えていても、みなさんは驚かないかもしれません。
しかしながら、みなさんがもし、どれだけ多くの子供たちがより「低年齢期」に親の監督なしでWebを徘徊しているかを知れば驚愕するかもしれないですね。事実、私達は非常に驚きました。
親よりも子供の方がパソコンに詳しい!?
「ほとんどの親は"でもパソコンのことは私よりも子どものほうがずっと詳しいんです!"と言うだろう。そのような状況でどうやって現状起こっていることを監督する立場にいられるだろうか」とアーバンは力説しています。
多くの教師たちは(IT関連の教科をある程度教えたことがある教師でさえです)、自分たちよりも生徒のほうがインターネットに熟知しているということに同意すると思われます。
実に多くの10代若者たちが、親はもとより教師たちさえよりも自分のほうがインターネットの全てにおいて知識が上であると考えているのです。
子どもたちは大人よりもセキュリティ上級者なのか。
しかし本当に子どもたちは大人よりもセキュリティ上級者といえるのでしょうか?
facebookでの遊び方が分かることとコンピューターサイエンスの第一線にいるのとでは大きな違いがあります(しかもここでの一番若い年齢層などはfacebookのアカウントさえ開設できない年齢であることを覚えておいていただきたい)。
加えて、トロイの木馬やバッファオーバーフローのようなウイルスがある世界においてネットセキュリティに精通しているのかという点でもまた大きな開きがあると云えます。
子供にオンライン上で自己防衛術を教える手立て
しかし、アーバンはいくつもの対抗手段を示唆していて、それらは技術的な知識というよりはむしろ常識の範疇での対処でありますし、彼も若年層の子供たちにオンライン上での自己防衛術を身につけさせるのは親の役割であると考えています。
危険やリスクを熟知し、そしてそれについて話し合ってください。
安全管理の問題について学ぶことは幼い子供がいる家庭では、親と子が互いに学びあうことができる家族で取り組む良い機会になりうると思います。たとえば著作権侵害のような違反は道徳的な問題ではなく(道徳的な問題ももちろん重要ではありますが)、実際的な意義をも持つのです。
インターネット(特にソーシャルメディアサイト)はそこで出会わなければあなたもお子さんも一生出会わなかったであろう人たちとの交流を意味します。facebookが幼児性愛者たちの遊び場だという考え方は少々行きすぎかもしれませんが、完全なフィクションでもないのです。
子どもがこの年齢層に該当した頃に比べ、いくつかの点において親が子どもたちを今どきのネットの危険性から守ることは難しくなっています。子どもたちは自分だけのパソコンやデバイスを所有する傾向が強くなりました(スマートフォンはパソコンと同じであり、しかも携帯電話はどんどんスマートフォンへと変わっていっています)。
ですので「家族で使うパソコンをロックすればそれでよい」という問題ではなくなっているのです。
しかし、だからといってあなたは本当に危機管理を子供たちに任せっぱなしにしておきたいですか?
しかも子ども側の面倒を見ていればいいというだけのものでもありません。複雑で、双方向に接続されたオンラインという世界で、もしあなたのお子さんがたまたま何か間違いを犯してしまったら、そのことであなたがまったく思いも寄らないような一大事に発展する可能性もあるのです。
このブログはまた続きを書くことになるような気がしています。
出典:blog.eset.com