これまでのガラケーに代わり、スマートフォンを使い始めるユーザーが増えています。MM総研によると、2014年度には携帯電話の出荷台数のうち8割超がスマートフォンになるとのこと。ガラケーを持っている人が珍しい、と思う時代がすぐそこに迫っているのです。
(出典:(株) MM総研【東京・港】)
スマートフォンはガラケーと違って、いろいろなアプリをインストールし、必要な機能を随時追加できます。好きなゲームで遊んだり、文書ファイルを外出先で閲覧したりといったように、活用の幅を広げられるのがメリットです。
スマートフォンを使えばこのように利便性は高まりますが、一方で「セキュリティ」が問題となります。スマートフォンにはパソコンのように「ウイルス」が感染するリスクがあります。
ウイルスに感染すると、勝手に個人情報を外部に公開したり、第三者がスマートフォンを制御したりするなどの被害に遭ってしまうのです。
では、ガラケーからスマートフォンに代えた途端、なぜウイルスに注意しなければいけなくなるのでしょう。たしかにどちらも携帯電話の1つ。同じ用途で利用しているのに、スマートフォンだけウイルスに感染してしまうのはなぜなのでしょう。
オープンなOSが感染リスクを高める
スマートフォンにはパソコン同様、基本機能をつかさどる「OS」が搭載されています。例えばiPhoneで使われている「iOS」、GalaxsyやXPERIAなどに使われている「Android OS」などが代表的なものとなります。
MM総研が実施した調査によると、2013年1月の時点で、iOSのシェアは34.8%でAndroid OSは63.3%となっており、今後もAndroid OSのシェアは伸びると見込まれています。
(出典:(株) MM総研【東京・港】)
このAndroid OS向けのウイルスが増えているのです。Android OSはもともとグーグルが開発し、現在は誰でもプログラムを改修したり変更したりできる「オープンソースソフト」として公開されています。
ソースコードを改修して自由にプログラムを書き換えられることから、Android上で動作する不正なプログラムが作りやすい、OS自体が脆弱になりやすいなどの問題を抱えているのです。
これに対しガラケーはどうでしょう。ガラケーにも基本ソフトとしてOSが搭載されていますが、それはiOSやAndroid OSのように一般的なものではなく、通信事業者などが独自に開発したものとなります。
独自ゆえ、感染による被害が拡大しにくいのです。そもそもウイルスをばらまこうとしているプログラマは、被害が拡大しにくい環境向けのウイルスを作ろうとはしません。
もっとシェアがあり、被害が拡大しそうなOS向けのウイルスを作ろうとするもの。ほぼ国内でしか使われていないガラケー向けのウイルスがまん延しなかったのは、こうした事情に大きく起因しているのです。
iOS向けのウイルスは広がらない?
では国内で3割以上のシェアを持つiOS向けのウイルスが広がらないのはなぜでしょう。iOSを開発したアップルは、その上で動作するアプリを厳しく制限しています。
「App Store」では多数のアプリが公開されていますが、公開するためにはアップルの許可を得なければならず、不正なウイルスなどを含むアプリは事前に排除される仕組みとなっています。iOS向けのウイルスがまん延しない理由は、こうしたアップルの体制が大きく関わっているのです。
最後に
Android OSを搭載するスマートフォンは、ガラケーやiOSを搭載するiPhoneなどと違い、ウイルスに感染するリスクが高い端末といえるでしょう。正しく使い、不正なアプリをインストールしなければ感染は防げますが、日ごろから不用意にアプリをインストールしないようにするなど、注意を払っておく必要があるのです。「みんなが使っているから大丈夫」と思わずに、普段からウイルスの危険を認識しておくようにしましょう。